空手 沖縄から本土へ
皆さんの思い浮かべる空手とは、突きと蹴りで相手を倒すイメージだと思います。しかし本来、空手とは掴み投げながら打撃で倒す武道だったとご存知だったでしょうか?
柔術から柔道へ移行する際に当身を捨てることに懸念を覚えた嘉納治五郎師範が、当身を研究する為に沖縄より船越義珍師範を講道館へ招きます。
それ以降、本土で空手を普及する訳ですが、柔道との違いを強調する為に掴み投げを利用した技を省くようになりました。この様な事情から、空手は突き蹴りのみの武道というイメージが定着したのです。
その証拠に伝統的な型の技を解釈する型の分解では、掴み投げを利用し打撃を入れる技が多く見受けられます。
円心空手は古流?
そして円心空手とは空手本来の技術である、突き蹴りに加え、掴み投げを認めた空手なのです。 では円心空手とは古流の空手なのでしょうか?円心空手はフルコンタクト空手という顔面への手技の攻撃を除くKOルールの試合を採用している空手です。 このフルコンタクト空手は1964年に剛柔流の一道場が始めたスタイルの空手であり、歴史は50年程度と比較的新しいのものです。 しかし50年の間には、ムエタイのキックの技術やボクシングのパンチのテクニックを貪欲に取り入れながら、試合という実践の場で技が練り上げられたのです。
空手の本質
皆さんがイメージする蹴りといえば回し蹴りだと思いますが、伝統的な型には回し蹴りは存在していません。
このことからムエタイとの交流から空手の技の体系に含まれるようになったものと推測され、比較的最近に空手の体系に含まれたものなのです。
そもそも空手とは沖縄にあったとされる武術「手(ティー)」と中国拳術が融合し、「唐手(トウディ)」となりました。更に空手の一撃必殺の思想や巻き藁打ちは剣術の薩摩示現流から。
「空手」と名称を変える時には仏教の「空」の思想から「空」という字を採用したのです。有効と思われるもは、「技」・「思想」まで空手に取り入れ変化してまいりました。
また、前述の講道館で演武する際に柔道の
道着を使用したことにより空手の道着も帯も柔道の影響を濃く受けることになりました。稽古の方法も、沖縄の学校で集団に教える為に剣道の稽古方法を取り入れ、
型や立ち方まで古流の空手から変更を行なったのです。更に空手は徒手空拳で行うイメージがありますが、トンファーや棒のような身近にある農具を利用する武器術も
内包していることからも判るとおり、身を護る為に有効なものは何でも利用するという柔軟な武道なのです。この様に、空手とは時代や状況に応じて最適化することこそが、
本質であり変化し続ける武道なのです。
技の実効性を検証する場としてのサバキチャレンジ
我々の円心空手は、掴み投げを認めたサバキチャレンジというKOルールの空手の大会を30年以上に渡り主催し、同門他流に関わらず試合の中で人を倒すという技術を磨いてまいりました。円心空手の核となる「サバキ」というコンセプトを基に他の武道の技を取り込み、試合の場で実証しながら有効な技を編み出し洗練し変化してまいりました。
円心空手が目指すもの
円心空手の技術は掴み投げを利用し、相手が攻撃も防御さえ不可能な体勢を崩した状況で、打撃で倒すという「サバキ」を学びます。この技術がユニークな点は相手を効率よく最大のダメージを与える技術であると同時に、相手を無傷で制圧できる技術であるのです。そして円心空手の目標は自分自身が強くなる事により、いかなる相手も傷つけることなく制圧する技術と、抵抗できない状態に陥った相手に過剰な攻撃を加えないという自制心を身につけることにあるのです。
円心空手の「サバキ」テクニック(‘08サバキチャレンジ九州)
実際の試合で使用される「サバキ」(3:03と3:51でポイントを取ります。)